明治27年夏場所6日目 (二六新報/明治27.5.22)
○回向院大相撲 ・一昨日の六日目は朝よりの好天気と云い、殊に日曜日なれば人出の多く午後には土間桟敷とも売切れる程の好況なりき。 ・唐辛高ノ森は、唐辛が高の右手を取り一本背負いを打たんとす、高一本背負いなら己れの方が本家本…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○回向院大相撲 ・一昨日の六日目は朝よりの好天気と云い、殊に日曜日なれば人出の多く午後には土間桟敷とも売切れる程の好況なりき。 ・唐辛高ノ森は、唐辛が高の右手を取り一本背負いを打たんとす、高一本背負いなら己れの方が本家本…
○回向院大相撲 ・昨日の五日目は、朝よりの好天気と神田祭中商工の休業者の観者も多く、概して大入の方なり。 ・不知火唐辛は、立合に右を差す唐辛その手を泉川に撓めて挑むうち不知火その手を突付けて預けたるまま左手に内枠を掛けて…
○回向院大相撲 ・御用木雷山は、雷山左を差してワタシコミ。 ・鬼鹿毛天津風は、鬼敵の左に引掛て突放す。 ・高浪大戸崎は、左四ツ掬い投げ打ち合い最後に大戸が打ち掬いは見事極まりたれど、この時遅し己が踏切早く団扇は高に上る。…
○回向院大相撲 ・一昨日三日目は日曜日と云い久々にての好天気なれば殊の外に大入なりき。 ・大泉両國は、泉が両國を釣出して勝。 ・高ノ森出羽ノ海は、左手の大競り合い水を入れて分。 ・越ヶ嶽鬼鹿毛は、左四ツに組み越が差し手を…
○大相撲 ・(唐辛高浪)は、高より左を差し、寄り。 ・(小天龍今泉)左四つ廻し引き、泉はよらん小天はいやだと揉み抜き、水入りてより小天を央に釣上げ釣出さんとす、小天支える泉は釣上げたるまま二三度振廻して釣出したるは中々の…
○回向院大相撲 ・昨十一日を似て初日興行せる大相撲は、惜しいかな西ノ海小錦の両力士病気休業の噂ありしためか朝来天気の曇りしためか思いの外の不入なりしも、午後快晴となりしよりまづ相応の入りあり、また当日主なる観客の中にて近…
○相撲取手略解 雪乃屋主人 ・相撲取手の事を新聞紙に掲げ始めたるは去る明治十四五年の頃、毎日新聞社にては故服部某と、予が日日新聞に前後相続で掲げたるが始めにて、それより十七八年の頃より各新聞紙にも続々掲ぐる事となれり、元…
○回向院大相撲(十日目) ・昨日は朝よりの好天気と云い、殊に上元の祝い日なれば薮入の子供等も多く来観せしゆえ十日目としては殊の外の大入なり、さて当場の景況は大戸平、達ノ矢、八幡山等の欠勤、大砲が中途より不勤せしため勧進元…
○回向院大相撲(九日目) ・一昨日は前日来西ノ海小錦等の不勤にもかかわらず日曜日ゆえか観者は前日よりも余程の大入と見受けたり。 ・響矢一力は、右四ツに組み一力より寄って来る所を響が土俵際にこらえ見事にウッチャリ。 ・大泉…
○回向院大相撲 ・不知火鳳凰は両人とも初日以来一度も遅れを取らぬ力士にて、この相撲一番にていづれか底を負う立合なれば両人が互いに敵の挙動を見てこの手して勝たんか彼の手にせんかと胸中の苦労は容易ならざるべし、然るゆえにや両…