明治29年春場所千秋楽 (東京朝日新聞/明治29.2.1)
○大相撲 ・一昨日(十日目)は千秋楽の日にて二段目以下の力士ばかりなれど、あたかもよし孝明天皇祭の休日に当りたれば入客相変わらず沢山にて、楽の日らしくは思われざりき。 ・相撲取り切りしのち序の口加入の新力士総出にて土俵祭…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
○大相撲 ・一昨日(十日目)は千秋楽の日にて二段目以下の力士ばかりなれど、あたかもよし孝明天皇祭の休日に当りたれば入客相変わらず沢山にて、楽の日らしくは思われざりき。 ・相撲取り切りしのち序の口加入の新力士総出にて土俵祭…
○土俵のかずかず ・大纒に雷山は、いづれも不元気同志にて双方立上るや突合にて競い、雷の寄り来るを大は引っ外し泉川に撓めんとせしも極まらず、次で大は左差しにて西溜りの詰めまで押行き下手投にて大の勝。 ・不知火に逆鉾は、逆少…
○大相撲 ・一昨二十六日(八日目)は日曜といい取組が面白いといい、充分客足を引くべき価値ありしには依るべけれど、近年無比の大入にてその数五千余人に達し、去る十八年梅ヶ谷と大達が両大関なりし時分よりほとんど絶無の盛況なりき…
○土俵のかずかず ・一力に當り矢は好相撲にて見物待ちかねの様子なりしが、當りは左筈で押さんとし一は下手投を行きたれど極まらず、取り疲れて引分け。 ・天津風に小天龍は綺麗に仕切て立上り、天は引落しに行き更に小天の左手を泉川…
○土俵のかずかず ・一昨日(六日目)は板垣伯、山地将軍などいう土佐出身の貴紳も見えたるに、肝腎当日の好相撲と聞えたる小錦の相手海山(土佐出身)が土俵入をせざるゆえ伯は殊のほか失望し、しばしば師匠友綱をして出勤を促さしめた…
○土俵のかずかず ・一昨日より客足いよいよ多きを加え、今明両日の如きは上中等の桟敷売切れとなり勧進元は大喜び、これ全く紛議のお蔭なるか、さすれば毎年一度はもめるもよからんと仇口たたく人もありけり。 ・鉄ヶ嶽に不知火は、幕…
○土俵のかずかず ・谷ノ音に千年川は互角の力量、千年は左四ツに組みしばらく揉合い更に釣らんとせしに、谷は外掛にてもたれ込み勝を占めたり、この時見物の喝采は百雷の轟くに異ならず、ここかしこより谷ノ音谷ノ音と囃し立て、同人は…
○土俵のかずかず ・勝平と両國は、勝が飛び違いに仕掛け行くを両危うく残して巻きにかかり、今度は勝より投げに行く途端両は寄りながらもたれ込み双方同体に流れて預かりとなりしも、星は両が占め満場破るるばかりの大喝采。 ・若島と…
○回向院大相撲 ・雷山に増田川は、立上り増の左差しに来るを外して二三度突き合いしが、タタき雷の勝。 ・唐辛に岩木野は立上り右四ツ必死と角力ううち、ヂリヂリと岩は寄せ来るを土俵際にて上手投にせんとする一居合、双方に踏切りあ…
○回向院大相撲 ・前号の紙上に記せし如く紛紜無事にまとまり一昨十九日初日となりたり、同日は日曜日の事とて面白き顔合せの少なきにも拘わらず景気よかりし。 ・勝平に大蛇潟は、左差し寄り倒して大蛇の勝。 ・当り矢に大纒は一二合…