明治14年春場所2日目 (東京横濱毎日新聞/明治14.1.11)
・二日目は見物千六百六十人にて。 ・中入前、上ヶ汐と清見潟は立合い申し分なく上ヶ汐は左を差し、清見潟は上より三ツを取り釣り上げて持ち出さんとせしかば、上ヶ汐は差したる右手を清見潟のうなじに掛け右足を搦みて「河津」を掛けし…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・二日目は見物千六百六十人にて。 ・中入前、上ヶ汐と清見潟は立合い申し分なく上ヶ汐は左を差し、清見潟は上より三ツを取り釣り上げて持ち出さんとせしかば、上ヶ汐は差したる右手を清見潟のうなじに掛け右足を搦みて「河津」を掛けし…
・一昨日、両国回向院の相撲は日曜日を当て込みし初日ゆえ早天より満場立錐の地なき大入りにて見物の数は無慮千百六十人なりし。 ・さて当日の取組中最も面白かりしものを記さんに、中入前にて片男浪と勝ノ浦の取組は双方突掛一方の力士…
・回向院の相撲は一昨、六日にて千秋楽となれり、観客は七百余人あり。 ・中にひときわ面白かりしは伊勢ノ濱に一本松の取組にて、立合いすこぶる念入りおよそ二十分間もかかり気合い十分満ちし時、双方立声を上げて立上がりしが、いずれ…
・昨日回向院九日目の相撲は見物千七百弐拾弐人あり。 ・かねて諸人の待ちし梅ヶ谷若島の取組は、双方十分に立合い「左ヨツ」となり二ツ三ツもみ合いしが、梅ヶ谷はまづ逆に力を入れ相手の体を浮かせ、遂に寄せ付け若島を押し出したり。…
・一昨三十日、回向院八日目の相撲は観客およそ三千人にて。 ・中入後、長山と中ツ山の取組は立つや否や中ツ山は下手に組み十分にかぶり、西の土俵際へジリジリと押し寄せ、既に長山は土俵を踏切らんとせしが、力を込めて中ツ山を土俵の…
・昨日回向院七日目の相撲は景気よく見物は三千二百人にて。 ・中入前、若島と荒虎の取組は荒虎の勝となりたり。 ・司天龍の評判は殊に宜ろしく、稲川との取組は司天龍の勝となり。 ・荒角と鯱の海の取組は双方十分の気入り立上がるや…
・昨日回向院六日目の相撲は例の上景気、見物は三千七百人にて。 ・中入前、響矢と上ヶ汐の立ち合い、水入れの後、響矢の勝となり。 ・武蔵野に常陸山の取組は双方見合いしに一時間を経るも立ち合う色なきより、行司・年寄は困じ果てし…
・昨日回向院五日目の相撲は見物三千弐百六拾九人にて上景気なり。 ・梅ヶ谷と荒角の勝負は立合い申し分無く梅ヶ谷は下手、荒角は上手なれば荒角は押されてたぢたぢと土俵際に来たりすでに踏み切らんとせしが、一声叫んで荒角は梅ヶ谷の…
・昨日回向院四日目の相撲は一昨日よりは見物人少なく二千八百四十一人なりし。 ・中入後、藤ノ川と手柄山は立合すこぶる念入りしが藤ノ川は十分気を籠めてかかり、最初は双方手と手にて取合い、中頃藤ノ川よりケタグリを仕掛けしが届か…
・回向院昨日三日目の相撲は極の上景気にて見物の員数は三千百四拾一人なりと。 ・サテ中入前、境川と千羽ヶ嶽の勝負は双方五分に立ち合い、二ツ三ツ押し合いしが千羽ヶ嶽は右手をサシて相手の廻しを取り、境川はこれに十分の余地を与え…