明治28年夏場所5日目 (東京朝日新聞/明治28.6.11)
・関ノ音に鬼ヶ谷は、立上り突合い関が左筈にて押すを鬼は外して反対に左筈にて押し出さんとするも、関は堪えて廻り込むを送り出して鬼の勝。 ・出羽ノ海に高浪は、高右を差すを出羽は右筈にて押すを、高が堪える所を突き落し見事に決ま…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・関ノ音に鬼ヶ谷は、立上り突合い関が左筈にて押すを鬼は外して反対に左筈にて押し出さんとするも、関は堪えて廻り込むを送り出して鬼の勝。 ・出羽ノ海に高浪は、高右を差すを出羽は右筈にて押すを、高が堪える所を突き落し見事に決ま…
○大相撲 ・四日目(一昨九日)は日曜日と云い、かつ朝来の好天気にて徳川公及び貴顕紳士の来観も多く、開場以来の上景気大入なりし。 ・唐辛に松若は、双方とも当場所元気よき力士なれば名乗揚がるや満場どよめき渡り、拍手のうちに両…
○大相撲 ・関ノ音に高浪は、立上り左四ツ高が一心に寄るを関は危うくも土俵際に踏み止り、ウッチャりて関の勝。 ・岩木野と一力は、岩が左を差さんとするを力は逃げながらハタキしが、その時力の体廻り危うかりしも残りて二三合突合い…
○大相撲 ・雨天のため二三日延引せし大相撲はいよいよ昨六日二日目の興行あり、当日は無類の快晴にてまづ相応の景気なりし。 ・松ヶ関に関ノ音は、立上り小手先にて競り合い松右を差すと関はその手を泉川にて撓めしも、直ぐ解き右四ツ…
○大相撲 ・予期の如く出世大相撲はいよいよ昨三日より東両国回向院境内において開場したるが、取組中最も観客の望みを嘱せる東西両大関小錦、大碇、大戸平並びに朝汐、外ノ海、達ノ矢、今泉、高浪、一力、鬼ヶ谷等幕の内屈指の力士欠勤…
○大相撲 出世大相撲は来る二十日開場の予定なることは前号に記したるが、近々両陛下御還幸あらせらるるよしを聞き及び、更に協議のうえ六月一日開場のことに決しそれぞれ出稼ぎ先へ通報したるよし。 ○力士の給金付 ・出世大相撲当興…
○回向院大相撲 ・昨日の十日目を以て千秋楽を告げたる当場の景況一般は、前号の本紙に報道せし如く損耗を覚悟して始めたるに、案ずるより産むが安きとの譬えの如く三日目より案外客足の付きたるため無給とまで決心せし年寄共及び幕下十…
○回向院大相撲 ・高ノ森関ノ音は、左四ツに組みて挑み水入りて引分。 ・鬼鹿毛猫又は、猫の左差しに鬼が右手を引かけ小手投げを打つ。 ・海山大戸崎は、大戸の左差しを海山双の手に巻き込んで充分にころして隙を窺う、大戸の進退する…
○回向院大相撲 ・両國大泉は、立合中泉が化粧立ちに立かかり横そっ頬を叩きたるに、両國真面目に憤り出し泉の横つらを打ちかえす、そして自分の顎を幾度かおさえて外れはせぬかと試みるもおかしく見物は一同に笑う、両國躍起となり立合…
○回向院大相撲 ・若嶋両國は、両國が師匠直伝の猾手段を廻らし立合にしてやらんとかねて注文せしと見え、立合いに若の突出す左をたぐり込み一本背負いを打たんとすまいたれど、若の左知ったりと引はなす両國こりゃ仕損じたりと体を潜め…