明治17年夏場所初日 (東京横濱毎日新聞/明治17.5.13)
・回向院の大相撲は兼ねて記せし如く昨日開場になれり、近来流行の第一に位するものだけありて場所も例年よりはズッと広やかに構造し、すべての注意も行き届きぬ。 ・此の日は初日の事なれば取組もさまで宜しからざりしが、番数のうち九…
明治~大正の新聞記事は大変興味深い情報の宝庫です。味わい深い文体も楽しみながら、古き佳き時代の相撲場風情を満喫しましょう。 緑色の文字は作成者のコメントです。
・回向院の大相撲は兼ねて記せし如く昨日開場になれり、近来流行の第一に位するものだけありて場所も例年よりはズッと広やかに構造し、すべての注意も行き届きぬ。 ・此の日は初日の事なれば取組もさまで宜しからざりしが、番数のうち九…
・かねて記し奉りし如く、聖上には昨日午前九時三十分御出門相撲天覧として濱の延遼館へ行幸あらせられたり、御陪乗は徳大寺宮内卿にて小松伏見の雨宮を始め米田侍従長その他侍従の方々供し奉らる、さて御場所の模様を記さんに、まず延遼…
・今度相撲天覧あるに付き、相撲社会において大関梅ヶ谷は現時日ノ下開山と呼ばるる剛のものなるにより、せめては此の際横綱を張らせんと周旋せしが、五條元老院御用掛は野見宿禰の後胤なれば今度同氏よりこれを授与せられ昨日手元に渡り…
・昨日回向院十日目すなわち千秋楽の相撲は、中入前日下山に野州山は突張りて「ハタキ込」日下山の勝。 ・岩ノ里に山ノ音は「押切」りて山ノ音の勝。取倉に八幡山は「持出」して八幡の勝。荒石に大和錦は「右四ツ」となり「下手投」にて…
・中入前、友綱に忍川は遮に無に「寄」て友綱の勝。 ・上ヶ汐に一ノ矢は仕切も見事に立上り、突掛け跳合い一ノ矢が相撲にせんと右を差しつつ組まんとすれば上ヶ汐は此の右を引張り込み、我が右を伸ばして敵の足を外部より「スクイ」すな…
・中入前、柏戸に中津山は「ハタキ込」んで柏戸の勝。 ・海山に荒飛は、海山左に敵の前袋を引き「右」を差さんとするを荒飛は両手にこの右を殺して水、荒飛に痛みありて引分となりぬ。 ・出釈迦山に緋縅は「ハタキ込」て緋縅の勝。 ・…
・(中入前)羽衣と綾浪との間に物言い起こりて一時間も調和せず、それがため当日は総体の取組が延引したり。 ・幕の内に移りて入間川に立田野は「スクイ」投げて入間川の勝は妙なり。 ・友綱に勢は釣り合いし相撲にて、立上るやちょっ…
・(中入前)井筒に友綱は「押切」りて友綱の勝。立田野に上ヶ汐は大相撲となりて水入りしが、立田野に痛ありて引分け。 ・武蔵潟に鞆ノ平は、武蔵は両差、鞆ノ平は左に「上手廻し」を引き右に敵の左手を巻いて揉抜きついに「寄」て鞆の…
・昨日回向院五日目の相撲は引続いての上景気。 ・(中入前)柏戸に伊勢ノ濱は「カタスカセ」にて「はたき」込み伊勢の勝。 ・上ヶ汐に勢は「左四ツ」で「寄」り勢の勝は感心。 ・緋縅に常陸山は面白からんと思いの外、すぐ「突張」に…
・(中入前)出釈迦山に友綱は押切りて友綱の勝。井筒に柏戸は「寄リテ」柏戸の勝。 ・海山に高千穂はかなりの取組にて観客の気合よく、立上り突掛け合う時などは喝采の声場中に鳴り渡れり、其のうち高千穂が左を差して来るを海山は心得…